第一章・ニートになりたい

5/6
1565人が本棚に入れています
本棚に追加
/218ページ
食事後、意気揚々と身支度をととのえる青年に父親が首をかしげる。 「…どこ行くんだ?」 「街!!」 青年は弾むような声で返答する。 「街ってお前…何しに」 父親がますます首をかしげていると、青年は満面の笑みで振り返った。 「姉ちゃんみたいにハンターになるんだ!」 「おっ…お前がぁぁあ!?!?」 「他に誰がいるんだよ…。そんでもって適当に簡単な仕事引きうけてチビチビ稼いで、金がたまったらニートになる!我ながら完璧な作戦だぜ」 「どこがどう完璧なんだよ。それ以前にお前にハンターとか無理!どう考えても無理!!」 両手をブンブンと振る父親に青年はムッとした顔つきをする。 「何でだよ」 「魔物と戦うんだぞ!?ケガなんて日常茶飯事だし、死と隣り合わせの生活なんだぞ!!」 「そんな難しい依頼受けないからだいじょぶだって」 青年は荷物を抱えると、玄関に向かって歩き出した。 「コラ待ちなさい……    …………シマキ!!!」 父親が手を伸ばして引きとめようとするも空しく、玄関の扉はバタンと大きな音をたてて閉まった。
/218ページ

最初のコメントを投稿しよう!