最終章。『回顧……そして、花は咲く !?』

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「では、いつ持っているのは山井だと知ったんですか」 「本間が私達を見送るのに店の外に出た時、そっとバイトの子に聞きました」 「真奈ちゃんかあ」 「そこで、まさか、山井の名を聞くとは……東郷栄一さんの人生を滅茶苦茶にし、私利私欲の為になら何でもやる山井の名を……」 東郷はテーブルの上に置いていた右手を『グッ』と握り締める。 「で、その後、山井と連絡を取ったんですね」 「はい、どういう経緯でその時計を手に入れたかを聞こう思って直接電話をしました……最初は東郷と名乗っても『ピン』と来ないらしく、私が『東郷建設』の『東郷英治』だと言うとかなり慌てていましたよ」 冷ややかな笑みが東郷の口元に浮かぶ。 「それで、山井はどう答えたんですか」 「あいつは、いけしゃあしゃあと沼尻さんから貰ったと言ったのです」 相当悔しかったのであろう、東郷はそう言って唇を『クッ』と噛む。 「でも、本当に沼尻から山井が貰ったかも知れないじゃないですか」 取調室が寒くなって来たようで、梅沢は話しながら東郷の背後にある小窓を閉める。 「そんな事は絶対あり得ません。普通、考えられますか、私から貰って涙ながらに『一生大切にする』と言っていた時計をすぐに人にあげ、その後に自殺するなんて」 「まあまあ、落ち着いて」 物凄い剣幕で椅子から立ち上がりそうになる東郷を梅沢が宥めて座らせ、卓司は東郷が落ち着くのを待つ。 「……では、東郷さんは山井が沼尻さんから奪ったと?」 「この場合はそう考えるのが自然でしょう。山井の様な特に金に意地汚い人間は……」 「う~~ん、そうなると、沼尻さんは自殺する前に山井に会っていた事になりますが、どうして会ってたんでしょうか」 「多分、山井からお金を借りる為……」
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