僕のプロローグ

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 僕は夢を見る。それはひどく写実的であり、不自然な抽象的である。つまり、見ている僕ですらわからない、変な夢だ。その変な夢では、毎回同じことの繰り替えし。いつから見ているのか、どうして見ているかもわからない。最近では、そんなことを考えなくなった。  始めはいつも野原にいる。向かい風がくせのある僕の髪を遊ぶ。目の前には大きな森が座っていて、風はそいつのため息みたいだ。陽が当たる野原はいつも気持ちがいい。だけど、僕には行かないといけない場所がある。  僕は重い足取りで野原をあとにし、気難しそうな森へと入っていった。森へ一歩入れば僕の周りにある空気は、がらりと態度を変える。  周りを慎重に観察しながら歩みをすすめた。目を凝らし、耳を研ぎ澄ます。でも、いくらそうし所で、僕を取って食べようとする奴なんていないことは知っている。だって此処はいつもそうだ。生きものなんていない。僕だって生きているかわからない。この森の体内はいつもそうだ。  歩き続ければ、息苦しい森にも出口が見えてきた。いや、入り口かもしれない。どっちだっていい、さっさと此処を抜けたい。僕は光を目指した。
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