夏の思い出

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奇襲。 声を掛けられることもなく、後の階段をどどどと勢いよい音と同時に背中に衝撃を受けたのは桜井。 その音に、振り返ったのは少し先をいっていた繁泉。 最近、こんな不意打ちか、数ばかりだ!! と、よろめきながら桜井は思った。 ガッと右足で踏ん張り、体勢を立て直し、振り返れば見知らぬ2人組だった。 「テメーらか、虎柳大付属って」 「赤陽の桜井和宏!」 名前を呼ぶだけで、にいっと笑った見知らぬ2人組は容赦なく襲い掛かってきた。 毛頭は話すつもりはないらしい。 彼の喧嘩は取らない主義。 そういうことで、繁泉は退いてただ、終わるのを見ているだけ。 やっぱり、喧嘩をするときの桜井を見るのは、彼とのセックスくらい好きだと繁泉は思った。 そのために作られたかのようについた筋肉。 無駄のない、動きから繰り出されるパンチによく伸びる脚。 綺麗だと思っているうちに、男2人は無様にレンガ調の地面に倒れていた。 「おい、テメーら何人で来てんだ?どこにいんだよ?」 2人組の前にしゃがみ込み桜井は尋問を始める。 言わなければ顔面に一発。 そんな、凶暴な桜井の腕を上から繁泉は見ている。 あの腕が夜は自分の背中にしがみ付くのだからたまらない。 仲間内がやられている最中に不謹慎だが、繁泉はそう思わずには居られなく、申し訳ないから今度は自分も加勢しようと思ったのだった。 あっけなく虎柳大付属2名撃沈。 口を割った彼等から聞けば総勢14名。 残り12。
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