ありがとう

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  目を見開いて、けれど驚きはすぐに微笑みに変わった。 「俺は、お前が好きだ」 不意に亜美の顔中が真っ赤に染まった。 「いきなり何言いだすのさ。不意討ちなんて卑怯……」 「不意討ちついでに、これもプレゼント」 薬指に輝く、シルバーとダイヤモンドの淡い輝き。 「これ……」 嬉しさと驚きで声が出ない。 「もう、俺は一族の王じゃない。だから、婚約者は自分で決める。まだ俺はお前をもらえるような立派な人間じゃない。けど、なんか手をつけておかねぇとふらっとどっか行ってしまいそうで怖いから、予約しておこうと思って。いつか、迎えに来るから待っててほしい」 照れくさそうに隼は頬を掻いた。 亜美は何か言わなくちゃと思い声を出そうとするが、あ、の一言もでてこなかった。代わりに涙がどっとあふれ出た。 「あ、亜美っ!?やっぱり碧のことが好きなのか」 本気で悲しそうな表情をする隼に、思わず笑みがこぼれた。 「何勘違いしてんのばか。素直に嬉しい。私でよければ、婚約者にして下さい」 涙を流したまま微笑めば、隼は心底ほっとしたようで無邪気に微笑んだ。 「ありがとう」
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