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「おう、ティアマトのやつがどこに向かったかなんてわからねえが、とりあえず西のサヴァ大陸から攻めていこうと思ってる」
サヴァか……フェニキアスだったら同じ道のりだったのにな。
「あそー、俺はフェニキアス行くけどな」
とここで爆弾発言。この話を聞いていなかったロインもそりゃ驚いた顔を見せた。
「ほー!こりゃまたどうして」
「とある人物に会いにな。
フェニキアスまで行かなきゃならん事になったんだよ。一緒に来るか?サヴァに行くっつってたけど、決定じゃないんだろ?」
ロインは腕を組んで考え出したかと思いきや意外とすぐに、あっさりとその提案を拒否した。
「いや、イシュカが別大陸に行くってんならそれはそれで好都合だろう。どこに行ったかもわからない相手を探そうとしてんだ。しかもその相手は強大な力を持っている」
「……異変が起こると俺かロイン、どちらかが察知できるって寸法だな?」
「そ!モルドワの輪をぶった切ったりすりゃあいいんじゃねえかな?あれだとすぐに連絡できそうじゃねえか?」
今ロインが言ったモルドワの輪というのは呪術アイテムの事で、見た目はただの細い糸だ。
その糸に誰かの血を一滴染み込ませると、もしその血の主に何かあった時、血で染めた部分がプツンと切れるアイテム。
家族や友を思う文明から考案されたものだ。糸を黄色や緑色に染色することで誰がどの糸なのかを決める。その糸は結うもよし何もしないも良しだが、たいていは編んで手首や足首にする。
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