第1章‐揚羽蝶は微笑む‐

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第1章‐揚羽蝶は微笑む‐

    バタンッ 大きく、広い部屋。 真っ白い部屋。 周りには、何も無くて。 あるとしたら、 真ん中に真っ白いソファ。 そこには、 一人の男。 コツコツ その男に、 少年は近づく。 「美月様」 「……アゲハか。 ああ、君のとは、違う香りだ。 また、かい…?」 「えぇ」 男、美月がそう問うと。 少年、アゲハはなんとも 綺麗な笑みを浮かべて。 男の前に、跪づいた。 「クスッ…なんだか妬けるよ。 君が、他の男に 抱かれるなんてね……」 アゲハを愛おしそうに見つめ、 跪づくアゲハの頬に、 そっと、触れた。 アゲハはその手に 頬を擦り寄せながら、 手を重ねた。 そして、 ゆっくりと口を開いた。 「……ご安心を。 私の主人は、 アナタだけですよ。 ―――美月様」 そう言い、 その掌に口付け。 満月は、 そんな二人を照らし、 なぜか。 できた影は、 切なく感じる。 スッ、と アゲハは立ち上がった。 「だけど、 君は誰にも、 捕まらないのだろう…?」 「……クスッ。えぇ。 私は、誰にも捕まらないですよ」 そう言い残し、 アゲハは静かに立ち去った。 「……………」 美月は、 アゲハの唇が触れた 掌を見た。 「捕まえて、みせるさ……」 そこに、口付けをした。 ほんの微かに、 温もりはあった。 .
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