最終章 ふたり

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* ある日、私と航樹は手を繋いで家に帰ると、ポストを覗いてみた。 ひっそりと、一通の薄いブルーの封書が届いている。 私は封書の贈り主の名前を見ると、パッと顔を上げて航樹を見た。 「奈津からだよ!!」 * 私と航樹は、部屋で寄り添いながら封筒を開けて便箋に綴られた奈津の手紙を読んでいた。 《航樹、由比、お元気ですか?あなたたちが恋人同士になったことは、以前テレビで知りました。由比を取り戻そうと、テレビで歌った航樹。私、あんな航樹、知らない。あなたたちが愛し合うなんて、不思議だけど、嬉しい。 よかった。 あなたたちが幸せであるなら、本当によかった。 私たち、子供が生まれたの。女の子で、航樹がもしよければ《歩未》ってつけたいの。いい?だって、歩未ちゃんに生きてほしいから。私と峻の歩未は、とても元気です。いつかきっと、会いに来てください。奈津》
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