崩れ去る平和な日常

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チュンチュン 朝を告げる小鳥のさえずりが俺に心地よい目覚めを与えてくれる。 俺は不知火悠樹(シラヌイユウキ)高校二年生だ。まあ、どこにでもいる平凡な青少年だと自負している。とりあえず、自己紹介はこの辺にしてと…… 「ふぁ~朝かぁ~」 右腕をグッと上に伸ばし、寝呆けた体を覚醒させる。 ……ん?何で両腕じゃないんだ?と思う読者諸君、君たちの疑問は正しい。 では、お答えしよう。 ……それは…… 「スースー……」 俺の左腕には昨晩、床に就いた時にはなかったものがズシリとのしかかっているからだ…… 「スースー…むにゃむにゃ……うへへぇ」 幸せそうな顔をして、俺の左腕を枕にしている、こいつは静穏寺桜(セイオンジ サクラ)俺の家の向かいに住む、大金持ちお嬢様だ。まあ幼なじみってやつに該当するわけだが…… そいつがなぜ、俺の左腕を枕にしているかと言うと……直接、聞くか…… 「!!うぉりゃー」 俺は痺れてあまり感覚のない左腕を思いっきり、はねあげた。 心地よさそうに寝ていた桜は奇麗な弧を描き、空を舞い、みごとに顔面から床に着地した。 「ふぎゃぁ!!」
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