序章

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ある山の麓。古びた、でも大きな社。 ずきん。 ずきん。 無いはずの翼が痛む。 また、あの時が来た。 あいつらが、いつも寝ているはずなのに起きている。 ピーッと鳴り響く笛と腹に響く太鼓の音。 点々と明かりがぶら下がり、食べ物が並ぶ。 天狗様、今年もありがとう。 小さな声が聞こえてきて、目線だけを向ける。 人間の幼子は純粋で、酷い。知らないから。 社に向かって叫ぶ子は、俺がすぐ前で見ているのに気付かず、ただ笑う。 悪いね、俺は何もしていないよ。 そう答えずに、毎回黙って帰す。 全て、好きにすればいいさ。
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