第十四章

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叫び声が方々で上がる。 「っつ! あああっ!!」 エクリーンもその中の一人だった。 避けきれなかった目玉が彼女の左腕に張り付いている。 それは蠢(うごめ)き、手首よりも少し上の辺りで侵食していっているようだった。 「あっ、つ!」 右手で肘あたりを掴み爪を立てる。 「エクリーン!?」 一番近くにいたデルアが四足獣の侵略者からの攻撃を払い、エクリーンを呼ぶ。 アーロットの力が効いているのか、ロープもどきはスパリと小気味良く切れる。 その時、空気がずしりと重くなった気がした。 冷たい空気が辺りに流れ始める。 「なんだ?」 予測はつくが、思わず声にしていた。 「また、現れたようだねぇ。」 デルアの声にアーロットは額に汗をかきながら応える。 暗く闇に染まる空から、一気に五体もの侵略者が現れた。 「リネ・スニエ……、さすがにこれは勘弁して~。」 軽い口調で呟きながらも腕は前に伸ばし、真剣な眼差しで標的を捉える。 「ぅうっ! デルア!」 苦しげな声を漏らしながら、エクリーンはデルアに左腕をかざした。 「切っちゃって!」
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