誕生日

9/11
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自分で仕込んでおいたというのに、すっかり忘れてしまっていた。 本当に今日の俺は、どれだけ緊張していたのだろう。 いっぱいいっぱいだった自分がおかしくて、少し笑えた。 「あの部屋。お前にやるよ」 右手の人差し指を、天井に向ける。 宮下の顔も同じように上を向いた。 「いてもいいの?」 驚きすぎたのか、抑揚のない声で聞かれる。 手にしていたチーズを置いて、きちんと宮下に向き直った。 「持ってくるか? 荷物」 もともと空いていた部屋だった。 宮下の着替えが、少しずつ増えていくのがうれしかった。 一緒に住もうだなんて。 照れくさくて言えないから。 これが俺の精一杯。 それでも宮下にはちゃんと伝わったようで。 「うん」 満面の笑みでうなずかれた。
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