前門の虎、後門の狼

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「誠……もう一度さっきと同じ事言ってくれるかな?」 静香姉が表情を変えずに近寄り、両肩をガシッと掴んできた。 「えと……バイクの後ろに乗れたら最高だな……と。ハハ…ごめんなさい!もう言いませんから許して下さい!!」 肩を掴まれてなければ遠山ばりに土下座していたと思う。 「馬鹿か誠!今日は無理矢理にでも乗せてやろうと思ってたのに、先に言われたら姉ちゃんどうすればいいんだ!!」 沈黙…… 「「「はあああ!?」」」 有り得ない言葉が返ってきて、俺も含めて全員の声が見事に重なった。 「お前達!捕まえたクズ共と未知って奴のエスコートは任せたよ!」 「「「……オス!」」」 お兄さんお姉さん達は戸惑いながらも、総長に向けて挨拶する。 「何者よ。あの誠とか言う奴……」 極普通の一般学生ですから、そんな訝しげに見ないで下さい。 「まさか静香さんの男……?有り得ねぇ」 いや、ただの弟分です。敵意の視線は止めて下さい。 静香姉は颯爽とバイクに跨がり、こちらにヘルメットを投げてきたので受け取る。 静香姉はすでに着用済みだ。 「なん……だと!?」 「静香さんがヘルメットを被ってるだと……!」 「あれ武器に持って来たんじゃないの!?」 皆さん驚愕してますよ。アハハ…… 「えーと……静香姉は普段ヘルメット被ってたっけ?」 皆が気になってしょうがないと言った様子なので、代表して聞いてみた。
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