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まりえのその言葉を聞くと、鷹夜はおもむろに内ポケットから使い慣れた手帳を取り出して開いた。
「本日は『帝王学のすすめ・中』の299ページから324ページまで。
そして『魔具の心得~属性付与編~』の前回までの復習、と旦那様から伺っております。」
「今日もなかなかの量ね……。
まぁいいわ。」
そう言ってまりえは机に向くと、何も言わずに鞄から筆箱などを取り出して鷹夜から知らされた範囲の宿題に手をつけはじめた。
こうなってしまったら、まりえに何を言ってももう聞こえない。
一度勉強モードに切り替えてしまえば、呼ばれても気がつかないほどの集中力を発揮するのだ。
(本当に真面目な方ですね……)
鷹夜は本にかじりつくまりえの横顔を見て、静かに部屋を出た。
もちろん普通に音をたてて扉を閉めても、集中しているまりえには全く問題ない。
だが何となく雰囲気で、そっと出ていくようにいつもしているのだ。
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