一夜

7/15
7532人が本棚に入れています
本棚に追加
/49ページ
「私……駿ちゃんに、抱いてもらいたい」 紗姫はほんの10秒程度で体を離し、ベッドにちょこんと座って、火照った顔で呟く 真っ直ぐに僕の瞳を見つめており、唇は唾液で濡れ、淫靡に光っている 「駿ちゃんのコト、本気で好きなの。 起きてから寝るまで…… ずっと、駿ちゃんが頭から離れないの」 そう言って、僕の胸に体を預ける 心臓が、ドクンと跳ね上がった 「兄妹だとか……どうだっていい。 駿ちゃんには、私だけを見てて欲しいの」 僕の背に手を回し、ギュッとしがみつく 紗姫の胸の鼓動が、薄地のパジャマを通して伝わってくる 「僕だって……」 胸の中の紗姫を強く抱きしめ、自分の中でくすぶってた想いを紡いでいく 「ずっと前から、紗姫のことを妹として見れなくなってたよ。けど……自覚しちゃうと、歯止めが利かなくなるから――っ!」 回した両腕に、ギュッと力を込める 「……うん」 紗姫は嫌がる様子も見せず、静かに頷く 「紗姫のことを傷つけたくなくて…… 自分の気持ちに、嘘をついてたんだ……」 「うん……知ってた」 頷く代わりに、僕を見上げて薄く微笑む 潤んだ瞳で見つめられ、自身への怒りで高ぶっていた感情が鎮まっていく 「けど……駿ちゃんは、十分すぎるくらい我慢したよ?」 僕の首に腕を絡めて、ふっくらとした赤い唇を、ゆっくり近づけてくる 「2人で……悪いコト、しよ?」 白い灯りに照らされたベッドの上で、二つの影が重なった
/49ページ

最初のコメントを投稿しよう!