一夜

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コンコン―― 控えめに響くノック音に、閉じた瞼を開く 誰のものかは、容易に想像出来た 「どうぞー?」 体を起こし、再び電気をつける ゆっくりと扉が開き、桃色のパジャマを纏った紗姫が姿を現した これだけで、ご飯3杯はいける 似合ってるってのもあるけど、夜中に訪ねてくるってシチュが何より萌える 「寝るトコだった?」 後ろ手に扉を閉めながら、問い掛けてくる 「ちょうどね。……どしたの?」 「ん……久し振りに、一緒に寝たいなって」 頬をほんのりと桜色に染め、俯き、視線を足元に落とす 怖い夢を見た妹が、「一緒に寝ていい?」なんて言うとしたら……こんな感じか? 今の紗姫は、それくらい――や、それよりも遥かに可愛く、愛おしく感じられた それ以前に、紗姫が可愛くないはずがない 「くくっ……いいよ。おいで」 部屋の隅に置かれたベッド――僕はその壁側に寄り、スペースをつくる 「えへへ~♪」 紗姫は子供のように笑い、トコトコと歩み寄ってベッドにダイブした 訂正。ご飯1合はいけるね
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