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『貴女は、どこ』 君の近くにいるよ 『わからない。あなたは、……』 消えないよ。君が思い出すまでは 『水の音……涙?雫は此所にはないのに…』 それはね、きみが……… コンコン 「失礼致します。『わたし』様。朝食をお持ち致しました。」 「ありがとう。そこに置いといて」 ちょっと遅い、午前10時。 低血圧は生まれ持ってだから、生まれてからずっと10時にご飯と決めている。 「はい。かしこまりました。本日のお気分の方はいかがでしょう?」 「……」 「わたし、様…??」 「……」 「失礼致しました。 では、後ほど」 と言いかけたあの人の背中に、 「また、あの夢…。」 「……もう、いやだ。」 私の名前は、『わたし』 つけてくれたのは、誰だかわからないの。 けど、暖かい。『わたし』だけの名前。 そんなことを覚えている……だけ。 子ども部屋は今日も オルゴールとプラネタリウムが目の前で踊り続けて。 すぎ慣れた日常を、 怖くなんてない。 飽き飽きしてもいない。 変わらない、15年間そうだったから。 「大丈夫ですわ。私がついております。 私だけではありません……たくさんの方がわたし様についておいでです」 「……そうだよね。ごめんね。変なこと…」 抱き締められたぬくもりと、つーんと鼻の頭をたたいてる衝撃に忠実に、 瞳から一筋。 ぱたん ゆっくりと朝食をとる。 これも習慣。 ご飯は一人で食べる。 「これが、わたしの日常」 なにもかわらない。 なにも兆しがない、 そんな、毎日。 ……そう。あの人がこの部屋に来るまでは。
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