LIMITED

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 ふと気が付くと、部屋のなかにいた。部屋といっても窓もドアもない。壁は平らな灰色。天井には丸いライトが一つ、二つ、三つ ……全部で九つ並んでいる。それ以外、何もない。 ここは、いったい?  それに僕はこんな所で一体何をしているんだろう? 僕はとりあえず部屋のなかを歩いてみた。部屋はほぼ正確な正方形で、どの方向に歩いても、せいぜい五歩ほどで壁にあたる。  しかし、どうも奇妙だ。この部屋には出口らしいものが見当たらない。出口だけではない。入り口になるようなものもない。ここにどうやって入ったかも想像できない。 どこか隠れた出入り口でもあるのだろうか。 そう考えて僕は灰色の壁に沿って歩いてみた。 二つ目の角を曲がったとき、僕は壁に奇妙な穴があいているのを見つけた。へその高さにある縦長に開いた狭い穴。そういえば持っているキャッシュカードがぴったりはまりそうだ。 僕は着ていたジャケットの内ポケットに手を入れ、布製の財布を取り出した。 財布からキャッシュカードを取り出し、その穴に入れてみる。すると穴の奥で、何か金属のようなものに触れ、カチッと音を立てた。
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