第1章 プロローグ

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バスを待つ間、通り過ぎる車や人々を見ていた。 いつもと変わらない風景。 自分が何かの歯車の一部になっている気がした。 自由に何でもできるはずなのに、自由にならない日常。 日常を「日常」ととらえ、それを変えられない自分。 何かの変化が欲しい。 いつもそう思いながら、また、日常に身を置く。 隣に並ぶ女性がちらっとこちらを見た。 私が彼女を見つめ返すと、その女性はちょっと戸惑ったような顔で、ほんのちょっと距離を取った。 その時、ちょうどバスが来た。 車内は、座席は埋まっていて、立つ場所も適度に満員だった。 吊り輪を持って揺られていると、ふと下から視線を感じた。 すぐそばにお母さんと座っている女の子が私を見ていた。 「おねえちゃん、ぐあいがわるいの?」 女の子がそう言うと、母親が何言ってるのという感じで制した。 「だっておねえちゃん、ぐあいわるそうだよ」 母親が私をちらっと見た。 「変なこと言わないの」 「だって…」 私は女の子に笑いかけた。 女の子は黙って私を見ていた。 そっか、さっきの女性も私の顔色が悪いから見ていたのか。 どうしたんだろう。 思ったよりも体調が悪いのかもしれない。 でも、会社に行く時はいつものことだ。  
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