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私とメイドのお二人はお屋敷へと早足で戻る最中、私はメリッサさんより事の詳細をお聞きした。
お嬢様がいつもよりご機嫌が悪い訳ではない事や、何か特別な要望があった訳でもない・・・
なぜお嬢様は突然お姿を見せなくなったのか不明である事に、メイドのお二人もただ首を傾げるばかり・・・
「まさか、また誘拐では・・・」
一抹の不安を覚える私・・・
だが──
「それはないと思うわ。だってまだ犯人からの要求がありませんもの・・・」
メリッサさんは軽く首を横に振りながら語る。
が──
「これはまさか、心理戦・・・」
私はふと閃いた。
「え・・・」
不安な視線を私に向けるメイドのお二人・・・
「ですから、誘拐しても2日3日はそのままにして焦らせるのです。そして頃合いを見計らった所で声明を出す・・・」
私は思いつく所を説明。
すると──
「いやぁーお嬢様っ!」
突然フリージアさんは両手を頭にしゃがみ込んだ!
「なっ!?」
驚く私!
「大丈夫よフリージアさん!大丈夫だから!ね、落ち着いて」
すぐさまフリージアさんを抱きしめ、優しく頭を撫でて慰めるメリッサさんは──
「ちょっとノーボルさん!滅多な事言わないで!」
目つきをキッと私を睨んだ!
「申し訳ありません!これはあくまで可能性であります!」
慌てて私は弁明するも──
「うっ・・・グスン・・・」
フリージアさんは涙を流しては不安を露わにしておられた。
それからしばらく──
私とメイドのお二人はお屋敷へ着いた。
玄関ロビーにて──
「それではメリッサさん。私はローレン様の所へ報告に上がります」
「ええ。とりあえず私とフリージアさんはしばらく休憩室にいるわ。もし手が空くようなら、休憩室まで来て下さるかしら。今後の事を話し合いましょう」
「わかりまた。では・・・」
脱帽して頷く私は一礼しつつも、チラリとフリージアさんを一目確認。
うつむくフリージアさんは、私の心無い一言にショックを受けたご様子・・・
そんなフリージアさんに申し訳ないと思いつつ、私はローレン様の元へご報告に上がる。
普段ならば一旦居室へ戻り、装具類を置いてくるのですが、今は非常時故、私はこのままの格好で執事長室へ向かった。
「入ります!」
軽くノックを一回、私は執事長室へ入ると──
「ノーボル!戻って来てくれたのですね!」
ローレン様はお仕事中にも関わらず、私を見るやいなや急に立ち上がった!
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