第三章「開幕戦・鮮烈デビュー?」

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「くおぉぉぉぉぉ!」 素早い反応で打球にジャンプ一番、飛び付く。 しかし、虚しく打球はセンター前に落ちる。 ここでベンチが動く。 選手交代が告げられ、マウンドに林原が向かった。 「林原さん、すみません。ランナー残してマウンドを譲って」 「ん? あれか? 気にするな。逆に楽になった」 「え?」 「ま、詳しいことは後で。ベンチに行って休んでな。お前の勝ち星、消さないからよ」 余裕綽々といった雰囲気の林原。 伊吹と念入りにサインを交換する。 そして内野手に細かく守備位置を指示する。 打者は打つ気満々といった感じだ。 注目の初球。 ど真ん中への打ち頃のそこそこ速度のある球。 これを狙い打ち、打球がスタンドへ―― 「ありゃ?」 行かず、前進守備のショート真っ正面のゴロ。 確実に捕球し、セカンドへ。セカンドがファーストへ送球し、ダブルプレー。 ストレートと思わせて投げたのは高速シンカー。ボールの上っ面を叩いてショートゴロとなったのだ。 続く打者もセカンドゴロに仕留めてチェンジ。 無死一塁のピンチを引っくり返す林原の投球術。 そして、最終回のマウンドに湊が上がる。 傍目には頼り無さそうに見えるが、 「ストライク、バッターアウト! ゲームセット!」 三人でピシャリと抑えて試合終了。 新城がプロ初勝利を得た。
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