第四章「始まりの出会い」

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四年前の春。 宮城県立桜甲高校。 県内でも有数の進学校として知られ、卒業生のほぼ100%が大学進学するという完璧な進学校だ。 当然、勉学に重点を置いた校風であり、運動部も特別力を入れているということはない。 そんな中にあって、野球部は毎年県大会ベスト16をキープと、進学校としては中々の成績を残していた。 この年の夏はベスト8。 その野球部の三年生。その中でも別な意味で目立つ部員。 湊一成。高校三年生。 はっきり言おう。 プロ入りした現在と全く違いはないと。 むしろ、三年生としての風格なく、一年生と言っても不自然さはない。 身長164cm、体重56kg。 高校入学から身長は2cmと伸びていない。 毎日牛乳を飲んだりと努力はしていたのだが、こればかりはどうにもならない。 あどけなさが特徴の三年生に見えない三年生。 先輩としての威厳は無かった。 欠片も。 まさかこの湊がプロ野球の世界に入るなど、誰も予想していなかった。 当然、本人も  
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