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「何をボサッとしておる! はよ来んか!」
ぐいっと腕を引っ張られて、ずるずる……と。
「ローファーおにゅーなんですけど!」とは言えない。口が裂けても。
「あっあの! 寮はあっちじゃ……」
今、私が引きずられている方向は、寮とは正反対。しかも、門から出ちゃってますけれど。
「何を寝ぼけた事を! 俺と俺の補佐の貴様は、特別寮だと言ったろうが」
初めて聞いたしっ! 言ってないでしょ、絶対に。
それに、と、特別寮……!?
そんなの学校のパンフレットにも、かいてなかったよね!?
ずるずる……、ローファーの踵がアスファルトで研磨されていく。
「そろそろ自分で歩かんか!
……自分で歩くのがそんなに嫌なら、俺が抱き上げて運んでやってもいいぞ」
生徒会長は、口元をニヤリと歪めながら顔を近付けてくる。
こわっ!
「自分で歩きますっ!」
「そうか。残念だ」
残念なんですか!? もう、わけわかんない……。
どうにでもなれ、だ。
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