出会いと別れ

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何年前になるだろうか? 娘は今、中学一年生になった! {お父さん?お父さん?見て?} 娘は無邪気な顔で段ボール箱を見せる。 {なんやぁ?} 段ボールを覗き込みながら娘に尋ねる。 ニコニコと笑う娘。 {どしたんなぁ!?こりぁ?} そこには、まだ、目も開いていない子猫が二匹!? 茶虎と鯖虎!茶色のシマシマとねずみいろのシマシマ。 {かぁ~拾うて来たんか?} 娘が答える! {うん、○○ちゃんと二人で可哀相じゃけん、連れて帰ってきた。二人で一匹づつ飼うんじゃ(^O^)/} おぃおぃマジか? しばらく沈黙が続いた {母さんは、えぇ言うたんか?} 娘{母さんはどうせダメ!て言う(¨;)}{じゃけん、お父さんから話して} 娘にせがまれた。 半分無理だろぅと思いながらも子猫達を眺めた。 茶色の子猫は中々元気。 鯖虎の方は弱々しく 今にも消え入りそうな鳴き声 {こりぁ、鯖虎の方はダメかもしれんのォ?} 娘はオロオロとし始め泣き始める。 娘{どぅすればいぃ?お父さん?} 取りあえず妻に電話を入れ子猫が居る事を告げ ミルクを買いに行く事にした。 ミルクを買いに行っていた間に妻が帰宅。 いきなり娘を怒鳴り付けた。 妻{あんたぁ!この子猫!どぅするんね!?家にはケパがおるんよ} 家には犬のケパがいた。 娘は僕の後ろに隠れる。 {飼うんじゃとf^_^;} 妻は呆れた顔で娘を見る。 ピンポーン! 家のチャイムが鳴った。 娘{○○ちゃんだ!} 子猫を引き取りに来たらしい。 娘の友達に尋ねた。 {どっちの子猫が、いぃ?} お友達は迷わず茶虎を指す。 娘も茶虎が良かったらしく冴えない顔をする。 父と母{しょうがないじゃん。いぃよね?みみ?} [みみ]と言うのは娘の呼び名。 みみは黙って頷く。 元気のない鯖虎が家に残った。 やがてお友達は帰る 母{みみ?子猫ちゃんにミルクをあげんちゃぃ?元気がないよ子猫ちゃん?} みみにミルクのやり方を教え世話をさせる。 けれど子猫はミルクを飲まない。 1時間置きに子猫の様子をみる。 夜も11時を過ぎた頃。 娘が歓喜の声をあげる。 {見て!子猫ちゃん?ミルクを飲んだ} これでひとまず安心と皆、眠りに就いた。 やがて残酷な別れが来るとも思わずに…
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