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仁美さんの後を追いつつ、会計までしてもらって私は男として非常に恥ずかしい気持ちになりました。
店を出て仁美さんは何も言わずスタスタと早足で歩いて行きました。私は「終わったんだな」と落涙しそうになる瞳を押さえながら、仁美さんの後ろ姿をただ眺めていました。
「ねぇ、何してんの?行こうよ?」
仁美さんが振り返って私にそう言いました。
「はっ、はいっ!」
仁美さんを追いかけ、私は浮かれました。そして驚くことに仁美さんはラブホテルの入り口を指差していたのです。
「えっ?」
「えっじゃないわよ。私とじゃ入りたくない?」
「めっ、滅相もございません!」
私は慣れた様子の仁美さんをよそに、かなり動揺してしまいました。それと同時に心の奥底に閉じ込めていたであろう欲情がうねうねと湧き上がってきたのです。
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