クリスマス

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「気付いちゃった?」 ニヤリと芹那を振り返る西川。 「でも、今日は勉強よ?」 スタッフが防音のドアをそっと開く。 その中は熱気に包まれていた。 手を振り、こぶしを突き上げる観客。 お腹の底を揺らし、小刻みに、でも激しくリズムを刻むドラム。 そのドラムに絡み付き、観客を煽るベース。 複雑な音を次々と奏で、会場の歓声を更に引き上げるギター。 そして全ての中心となり、ステージや観客を自由自在に操り盛り立てるボーカル。 ステージには、JULIAがいた。 「達哉さん・・・」 いつもとは全く違う達哉がステージに立っていた。 この間、抱きしめてくれた優しい達哉ではなく。 今日は攻撃的で、時に切なく観客を煽る。 今すぐにでも観客に混ざってライブを楽しみたい。 そう思っているのが伝わったかのように、すかさず西川が芹那に言う。 「観客席で見たいでしょうけど、私達は関係者席よ。一応、仕事という名目で来ているからね。ライブの勉強という仕事よ。それに芹那ちゃんが観客席に居たらパニックになるわ」 それでも嬉しかった。 ライブステージに立つ達哉を見る事ができるなんて、そうそうない。 二つだけ空いている席にそっと座った。 キョロキョロと周りを見ると、達哉と仲のいいミュージシャンや業界関係者等、有名人だらけだった。 「西川さん、ありがとうございます」 芹那はそっとお礼を言った。
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