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慌ただしい。本当に忙しい。
「事務局は玄関の所で設置で良いだろ?後、来客用の窓口、俺一人だと無理だな。秘書君に心当たりいないか?」
「そうですね……。万が一を考えると、教授の体質に慣れていて、ある程度武術に長けていないと……。」
「あ、居るじゃねえか、加えて暇そうな奴。な、煉。」
みかんが、隣に座っている煉の肩を叩いた。
「暇、言うなっ!!これでも忙しいんだっ!!」
「暇じゃん。狸、膝に乗っけてさ。」
「そうじゃ。ワシを膝に乗っける暇が有るんじゃから、バイトしろ。」
「バイト扱いなんですかっ?!」
「お祖父様。きちんと事務員扱いしますよ?賞与二回、夏季・冬期休暇、週休二日、バイトも認めますから、真面目にどうですか?」
宗に言われて、煉は真面目な顔をする。
「……まあ、薬嗣の体質考えると下手な奴は雇えないか……。宗の頼みだしな。良いよ。引き受けてやる。道摩も宗の頼みなら何も言わないだろ?」
「もちろんですよ。僕としても、近くに居てくれた方が助かります。………で、少し小さな声で会話してもらえますか?薬嗣の頭に響くと思いますので。」
道摩は、調合した薬草茶を俺に渡してくれた。
「う~。サンキューな、道摩。頭、ガンガンする……。」
「あの程度で二日酔いなんて、相変わらず酒弱いな。」
あの程度……。
「日本酒十本、焼酎五本、ブランディー五本、ウオッカ三本、ビールに至っては、何ケース飲んだと思ってますか?薬嗣が、あなた方と同じ、枠と思わないでくださいね?」
「枠?ザルじゃなく?」
道摩の言葉に、狸が首を傾げる。
「ザルは漏れますけど、受け取る所があるでしょ?あなた方の場合、それも無くて、枠の部分しか無いでしょ。枠しか無かったらいつまでも溜りませんよね?ちなみに、宗以外、片付けもしないで、さっさと寝ましたよねー?」
アハハと笑う道摩の顔は、冷ややかだった。
「………あー。美味い。道摩、あんまり怒らないでやって?俺も楽しかったしさ。それで、事務員、みかんと煉だけで足りるのか?」
俺の言葉に、宗は顔を曇らせた。
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