3149人が本棚に入れています
本棚に追加
/518ページ
俺は不自然にぎくしゃくしながら歩いた。
シュウヤは普段と変わらない呑気な笑顔で俺の隣を歩いている。
「………」
しゃがんでいた連中のひとりが、火のついたままの煙草を放り投げた。
シュウヤの足すれすれで地面に落ち、俺は青ざめた。
それでもシュウヤは気にせず歩き続ける。
「なぁ 怒らないの」
連中からだいぶ離れた時、恐る恐るシュウヤに尋ねた。
一歩でも間違えればシュウヤの足に当たっていたのだ。相手が一般人なら、俺でも怒ると思う。
「怒ってるよ」
シュウヤはサラリと言った。
「でも、あんな場所で殴ったらツンが怖がるだろ」
子犬の笑顔。
「………」
俺は何も言わずに、再び前を向いて歩いた。
最初のコメントを投稿しよう!