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秀「いけ裁猟王!」
秀が命令すると裁猟王はその図体からは想像出来ない速度でドアまで移動し、50人の衛兵達の前に立ちはだかった。
ゲゼル「ええい! 何を迷っている! たかが闖入者1人の魔法だかかれ!」
裁猟王の放つあまりの威圧感に手慣れの衛兵達でさえたじろいだ。
しかし、後ろからゲゼルの激が飛び、直ぐ様裁猟王VS50人と言う途方もない大乱闘が始まった。
秀「人殺しの俺にこんな事言えないのはわかってる。けどな、俺は…女を泣かすヤツは許さない!!」
言い放った後、秀はゲゼル目掛けて駆け出した。
両者の距離は約15m、秀なら4歩で着く距離だ。
驚いて何も出来ないゲゼルのアゴに秀は運動力学、空力学、生体学、衝撃学、あらゆる学問の知識を一瞬でシュミレートし終えた結果得られた人類最高のパンチを打ち込んだ。
――ドカッ!
秀は非力だが、今のパンチは一撃でボクサーをも気絶させる程の破壊力を秘めていた。
ソレは、根性とか精神とかのレベルでは無く、人が人として生きている以上、この星がこの星である以上、絶対に再起不可能な必殺の一撃なのだ。
その必殺を食らったゲゼルは吹き飛ぶのでは無く、一瞬その場に浮いて、そのまま床に落下した。全身の筋肉が痙攣して弛緩しているせいで手足は小刻みに震え、口からは泡が垂れ、白いタキシードのズボンには黄色い染みが広がっていく。
秀「はぁ、はぁはぁ…はぁ、男は…女を、守る者だ」
息荒げに秀はセリアの横に腰掛け、息を整える。
と、その時!
――ガラガラドッシャーン!
やたらと破壊的な音がドアから轟いた。
目をやると、ドア…と言うか壁が崩れていた。
どうやら衛兵達は素直に小さなドアから入ることを諦め、代わりにもっと入口を拡張することにしたらしい。
何人かは裁猟王の雷撃で気絶したが、それでも残り40人程は壁だった場所から一気に雪崩れ込んだ。
秀「おいおい…ウソだろ?」
セリア「秀…」
秀「はぁはぁ…任せろ」
怯えるセリアに力強く頷くと、秀は辺りは素早く見渡した。
そして……
秀「なぁ、セリア。お前、高所恐怖症じゃないよな?」
セリア「ええ、でもどうして?」
秀「はぁ…こうするから」
【崩電】
キョトンとするセリアを無視して、秀は電撃を放った。
バルコニーに。
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