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どこまでも高く青い空に…蝉達の声に…行き交う人々の波に、僕は意識を失った。
…いや、そうではない
気づけば当たりは、古い油絵のように境界線が溶けだしていた
空も街並みも、人々も僕には一つのうねりに見えた。
正確には、その風景を僕の体がグングンと掻き分けて行く様を両の眼からぼんやりと視ていた…。
暑さにやられたかなどとしばらく考えていたが、不思議と焦りは無く、むしろ、とても静かで…
こみ上げてくるのは…何だろう?
寂しいような、安らぐような。
見たことのない林道を抜けた瞬間、その気持ちの正体が分かった。
「郷愁」
景色が変わるにつれて、確信した…理解はできていないはずなのに、確信していた。
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