記憶喪失

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 空港で後見人を見送り電車に乗って誠道学園駅前で降りると待ち合わせ場所へ向かい、ちょうどナンパされていた女子高生を助けると、後から来た2人に案内され大きな家に到着した。 当初の予定では出迎えに来る人数が2人と聞いていた筈がちょうど部活動の都合で休みとなり暇だった為、買い出しついでに連れて来たらしいとゆかりさんから説明され部屋へ移動し窓を開けて荷物を置きリビングへ行こうとした時、隣家から悲鳴が聞こえて振り返り向かいの部屋を見るとすでにカーテンが掛けられており、疑問に思いながらリビングへ向かい友紀奈が見知らぬ女の子と口論している為、止めに入り落ち着かせ事情を聴いたが突然不審者扱いされ不快な気分の真琴は自己紹介し、玄関に飾ってある1枚の絵画を眺め懐かしく思い子供達の声が響き、自然と涙が流れ反動で起きる頭痛に耐えた。 医者の説明で記憶が蘇る際、起きる副作用で下手に手を出すと精神が崩壊する危険性があるので安静にさせる事が1番最適らしい。  「フルート、演奏する約束」 と震えた声で話し部屋へ戻り楽譜とフルートを持ち2人がいる玄関に向かい、ちょうどリビングから様子を見に来たゆかりさんと真紀奈が絵画に気を取られているうちに演奏を始め4人の視線が真琴に留まり、心地良い音色に包まれもう1人の同居人が帰って来た事に気づかないほど忘れられない日となった。 自己紹介が終わり夕食の準備に入った真琴は手慣れた下処理を始め、友紀奈と交代で洗い物を片付け食器に盛り付け真紀奈と綾子がテーブルに完成した料理を運び、ゆかりさんが全員分のコップを用意し賑やかな夕食が始まった。 部活動の話に全く入ろうとしない真琴は部屋へ戻り、荷物整理を手早く終わらせ窓を閉めると綾子に呼び出され少々緊張しながらも中に入り、早速宝石の様な飴玉を食べさせられベッドに仰向けで寝ると急激に全身の体温が上昇し息苦しくなった時、左腕に付いているリングから魔力の反応を察知し、予想通りに進み綾子は退行催眠の準備を始め、後から入って来たゆかりさんに助手をして貰い開始すると真琴は浅い眠りから深い眠りへと墜ちて行き、体温も自然と平均値に戻った。
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