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「分かりました。でも、わからないことばかりですね。なぜ、開かずの間が増加しているのか。それに、なぜT市は理想郷化を急ぐのか」
(章介、それだけじゃない。もっとある)
(・・・まず、冥府の武器だ)
この世の刃では切れぬモノを切る冥府の武器。名に冥府と付くぐらいだから、冥府から来た武器なのだろう。ならば、いったい誰がこの世に持ち込んだのか。
(そして、裾踏留めの呪術だ)
神隠しから人間を守るために編み出された呪術。しかし、それにしては強力すぎる。血液さえ呪縛してしまうのだ。本当に神隠しのためだけに編み出されたのか。
(最後に、指輪だ)
(・・・)
(・・・)
(・・・)
(・・・いや、これに関しては止めておこう。こんな理不尽極まりない物、考えるだけ無駄だ)
などと俺が物思いにふけっていると、金属の擦れるようなチャラッという音が微かに聞こえた。
(ん?)
「どうしました、先輩?」
「・・・いや、何でもない」
「何か、難しい顔をしていましたよ?」
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