1話目 真夏の国

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太陽は燦々と降り注ぎ、空は真っ青。 肌がピリピリするのを感じる程です。 そんな中を一台のモトラド(注.二輪車。空を飛ばないものだけを指す)が走っていた。 運転手は白いシャツを着て、茶色いコートを腰に巻き、鍔と耳を覆う垂れのついた帽子をかぶっている。 年は十代の中頃。 黒く短い髪に精悍な顔立ち。 腰をベルトで締め、腰の後ろには自動式のハンド・パースエイダー(注.パースエイダーは銃器。この場合は拳銃)を一丁。 右腿の位置には大口径のリヴォルバーを一丁、ホルスターに収めている。 「暑い………」 運転手が呟く。 「帽子、脱げば、キノ?」 モトラドが言う。 「いや、熱射病の予防になるし」 キノと呼ばれた運転手が言う。 「それよりさ、エルメスに乗っていると暑いよ。風が生ぬるいし」 「鉄で出来てるし、風は自然なものだから、どうしようもないよ。それよりも、倒れないでよ」 エルメスと呼ばれたモトラドが叫んだ。
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