プロ野球GMという世界

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―帰宅後 あらかたの用事を済まし、GMのサイトを開く。登録のナビに従い、順番に要項を記入する。程なくして、アプリが起動した。 GMモード WINモード 2つのモードがある。サイトの説明で後者は通信対戦のモードだということは解っていた。GMモードを立ち上げ、暫くプレイするとコツが掴めてきた。こういった単純作業めいたゲームは得意で、すぐに選手の能力を示すマスは全て埋まり、リーグ全勝優勝もらくらくこなせるようにまで強くなった。 「もういいかな」 自慢の阪神所属選手のみで構成したチームを引っ提げ、満を持してデータ登録をする。 「こっからWINリーグに接続っ、と…」 データが送られ、携帯には幾つもの項目が表示される。 ステージ結果、チーム成績…どれも新規の俺にはまだ関係ないな。 えーと、チーム検索。これかな。 …ゲェー、わかんねえ。表示されるのは絞り込み検索の項目だった。 「これで同じくらいのレベルの奴を探せってことなのか」 正直面倒だ。んー、俺、阪神だし、相手はやっぱ巨人だろ。適当に絞ったところから巨人のユーザーを選ぶ。 対戦が始まった。説明通り、試合は勝手に進行していく。途中で指示なんかも出してみる。思ったよりも、本格的だった。 こいつは楽しめそうだ。 ナイスなゲームを見つけた事に俺は、明日からのケータイライフの充実に胸を膨らませていた。 ―翌日 帰宅後、今日はまずGMをすることにした。前日のプレイ中に気になる事柄があったのだ。それは、対戦相手の中にたまに持っている「自己紹介文」。自己主張激し目の俺とって、それは無限の可能性を思わせるフレーズだった。 やり方は何となく分かる。 タイガースヨロシクといった文面を適当にスラスラ書く。 「これでよし」 いつものようにチーム検索から同じくらいの勝率のユーザーを探す。 すると、そこには今までみたことない位の試合数をこなしているユーザー名があった。 「すっげ、どうなってんだ?」 まるで誘われるようだった。吸い込まれるようにそのユーザー名をクリックする。 その名は「むさし」 チームオーダーを見ると、何と4番に原辰徳の名前が。実際、原の能力はそれほどでもない。あえて起用するのは、なみならぬ愛着があるのだろう。 そして、その下にある「チーム紹介」の一文。ここから原に注ぐ情熱の理由が聞けるかも知れない。 俺は何の気なしにその一文をクリックした。 その時、それは起こった。
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