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さて、今度こそ始めるか。
私はパソコンと連動させたキーボードを叩き始めた。
集中して作業した結果、1曲出来上がった。
良いメロディを思いつくのは、いつもとは限らない。
考えても考えても、浮かばない時は浮かばない。
でも、今日は「お!これは!」と思うのが頭に降りてきた。
結衣の詞の意味をちゃんと理解している私に任せれば、結衣も満足な曲だと思う。
「ただいま~」
ちょうど結衣が帰ってきたようだ。
「お帰り~」
何かいいことがあったのかな?
結衣はいい顔をしていた。
「どう?できた?」
「うん。聴いてみて~」
私は結衣がソファに座るのを待って、スタートさせた。
パソコンに繋いだスピーカーから新曲が流れる。
結衣は自分の作った詞を当然覚えている。
目をつぶって流れてくる曲を聴きながら口ずさんでいた。
指先でリズムを取り始め、段々と身体の揺れも大きくなる。
曲が終わった。
結衣の動きは止まったけど、まだ目をつぶっている。
「いいね!」
徐に目を開けた。
「そう?」
「やっぱり、由梨の曲は最高!」
「詞がいいからね~」
二人で笑った。
「スコアは?」
「もうプリントした」
「じゃあ、今日さっそく練習してみる?」
「そうだね~」
ベースとドラムスの二人も腕がいいし、センスもいい。
今日の練習だけで、来週のライブには素晴らしい演奏ができると思う。
「もう一回聴かせて」
「うん」
私は曲をスタートさせると、また目をつぶって口ずさむ結衣を、頬杖をついて机から見つめていた。
彼女の満足そうな笑顔が、私の心を暖かくする。
(結衣、結衣が楽しそうだと私も楽しくなるよ)
私はいつもそう思う。
おっと、もう時間かー。
では、またね!
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