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「ねえ、今日いったいどうしたの?」
月明りがカーテンの向こうで輝いていて、電気はいらないみたい。
エジプトのピラミッドの上に登っているような不安と高揚感を感じながら、私はスイッチを切った。
うすぼんやりとした明るみの中に、あの子の姿が白く浮かびあがる。
私の弟だ。
「彼、なにか話があったみたいなのに」
「いいよ、別に。あんなチャラチャラした男の人、お姉ちゃんにはあわないよ」
「ナマイキ言って。あんたがそんなだから、私に彼氏ができないのよ」
「“そんな”ってどんなだよ」
「“シスコン”ってことよ」
「なにを──」
弟はあざけるように喉で笑ったけれど、その先は続かなかった。
「だって、ほら」
弟が口を開く。
「ぼくはいつもお姉ちゃんと一緒にいれるわけじゃないからさ。ぼくがいる間くらい、ぼくだけのお姉ちゃんでいてほしいじゃない」
「それがシスコンって言うのよ」
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