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西村奈津紀(ニシムラナツキ)はやけつくような暑い夏の空の下を歩いていた。 胸まで伸びた髪を器用に結い上げ、白いワンピースに日焼け防止の為かサーモンピンクのボレロを羽織る彼女は、足元のミュールや手に持ったかごのような鞄も手伝って、一見は涼しげだった。 「まったく、炎天とはよく言ったもんだわ。本当に燃えてるみたい」 ぼそりと苛立たしげに呟くと、その暑さから逃れるようにコンビニエンスストアの入口をぐいと押し開けた。 途端に、涼しい風が奈津紀を包み、彼女は安心したようにほーっと息を吐く。
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