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「内緒」
そう、最初に会った時もそうだった。
「君も、私に会わない方が良いよ」
俺は、鈍器で頭を殴られたような気がした。
「な、んで」
彼女を見上げる。
「どうしても。別れは辛くない方が、良いでしょう?」
哀しそうに微笑む、彼女。
「私は、君の哀しい顔を見たくないの」
俺の頬に触れる彼女。
彼女の手に俺の手を重ねる。
「何で、別れなんだ?」
俺がそう聞くと、彼女は少し目を見開いた後、ふと微笑む。
「いずれ、分かるよ。この言葉(コトノハ)の意味が」
何で、そんなに哀しそうなんだよ。
何で、そんなに、笑うんだよ。
哀しそうに…、何で笑うんだよ。
「有難う。小坂君」
君の笑顔が、本当に綺麗で…。
本当に、消えそうで…。
手離したくないと、本当にそう、心から想った…。
* * * * * *
有難う、なんて、言葉。
さようなら、なんて、言葉。
「有難う。小坂君」
そう、君に会えた事は、私にとって運命かも知れなかったんじゃないかな。
「君に出逢えた事、私は誇りに想うよ」
君に逢えて良かった。
「最期の別れ」
貴男の為に…、私は…。
詩を紡ぐから…。
風よ、想いを…。
空よ、声を…。
届けて、彼方に…。
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