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船出
キッカンガムという街で生まれ育った少年「タクト」。
父親は漁師、母親はその手伝いをしているという、ごく普通の家に生まれた。
18才になったある日、父親に…
「もぅお前も立派な大人だ。一人で自立するためにも、一人旅でもしないか?」
と、言われた。
タクトはその話を聞いて、ひどく動揺した。
なぜなら、タクトは何不自由なく今まで生活していたし、一人っ子ということもあって、両親から離れることを考えたことがなかったのだ。
いきなり父親にそぅ言われたものだから、心の中は張り裂けそうなくらいバクバクしていた…。
「今すぐ決めなくていいんだぞ。」
タクトはすごく迷った。
両親から離れるのはつらい。
しかし、これもいい機会だとも思った。
それから幾日かすぎた…。
「あのぉ…」
「なんだ、タクト」
「一人旅のことなんだけど…」
「おぉ!決まったか?まぁ、焦らないでもいいんだぞ?」
「父さん…父さん!!」
「なんだ?聞こえているぞ」
「僕、行くよ!」
「そうか…決めたんだな…それじゃあ今からでも行ってこい!」
「…えっ!?」
「決めてからすぐ実行しないと、今の気持ちがだんだん薄れていくからな」そういいながらお金の入った袋と弁当を僕に渡した。
「これはもらえないよ。一人で自立するために行くのに、これはもらえない」
「何を言ってるんだ。これはお前が稼いだんだ。今までわたしの仕事を手伝ってくれた日当だ!お前が稼いだんだ」
「父さん…」
「…さぁ、いってこい」
「…ありがとう…父さん…僕、いってくるよ!」
「おう!」
そう言い残し僕は故郷を後にすることになった。
「いってきまーす!」
「気をつけてな!」
「気をつけてねぇー!」
「いってきまーす!」
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