Lucky Boy

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 降っていた雨は午後には止み、下校時間には素晴らしい青空が広がっていた。 6月も後半に差し掛かり、梅雨独特の蒸し暑さがアスファルトの香とともに不快感を運んでくる。  俺は朝に持ってきていたビニール傘を気だるく引きずりながら下校していた。 湿気のせいもあり汗がにじむ。 額にはりつく髪の毛が欝陶しく感じ、前髪が伸びていたことに気付いた。 家に帰ったら少し切ろう、そんなことを考えていた。  「…ん?」 ふと、民家の塀の貼り紙に目がとまった。 スーパーの広告の裏に、油性マジックで文字が書いてある。 その紙は雨水を防ぐために一回り大きい袋に入れられ、その袋を縁取るようにガムテープで几帳面に塀に貼られていた。 折角袋に入れたにもかかわらず、雨で紙は濡れ、文字はナメクジが這った様に波打っている。
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