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『闇』の世界がありました。
暗い空に浮かぶ、淡い光を放つ月が全ての世界。
そこには『夜』が居て、人々は『夜』を囲み、毎日毎日、暗い空を眺めていました。
ある日、誰かが言いました。
もし、『光』の世界にいけるなら『太陽』を連れてきて私達はもっと幸せになれるのに
この言葉を聞いた人々は、一人の青年に『太陽』を探すようにと言いました。
そして青年は永い永い旅に出るのです。
たくさんたくさん旅をして、とうとう彼は世界の果てに辿り着きました。世界の果ての向こうに『光』の世界があるのです。
そこで『太陽』を見つけました。
彼は『太陽』を連れて、また永い永い旅に出ました。
そしてやっと、彼は『太陽』と共に『夜』の世界へと戻ってきました。
『太陽』を見て喜んだ人々は、『夜』に言いました。
もう『夜』は必要ない。私達には『太陽』がいるのだから
『夜』は人々に追われ、この世界から姿を消しました。
人々は『太陽』を歓迎し、以前よりもっと幸せな笑顔で日々を暮らすようになりました。
しかし『太陽』の光はとても強く、水や植物は枯れて世界はすっかり姿を変えてしまったのです。
始めはとても喜んでいた人々も、いつの間にか『夜』を求めるようになりました。
やはり『夜』でなくては
『夜』が必要だ
『夜』を探しに行こう
何人もの人々が『夜』を探して旅に出ました。
ですが、誰も『夜』を見つける事ができません。
人々が諦めかけた時、一人の青年が言いました。
私が探しに行きましょう。世界の果てまで旅をして、『夜』を必ず見つけます
人々は口々に言いました。
無理だよ。諦めなさい
私達が『夜』を追い出したのだから
『夜』はきっと私達を許してはくれないよ
青年は人々に語りかけました。
探しに行きます。例え許されなくても、世界の果てまで探しに行きます
止める人々に笑顔で答え、青年は旅に出たのです。
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