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心地良い風。
暖かな日差し。
子守歌も聞こえる。
睡眠の促進効果のある文字の羅列もある。
「こんな日は寝ても仕方ないと思うんですが、どうでしょう?」
「いい度胸だ、天宮 嵐(アマミヤ アラシ)。廊下に出るか?」
「……遠慮します」
嵐は深々と頭を下げて、席に着く。
突然だか皆に問いたい。
心地良い春風、暖かい太陽の日差し、授業という名の教師の子守歌と催眠効果抜群の黒板の文字の羅列。
こんな条件が揃っていながら眠らないでいられようか、いやいられまい。
たとえ教壇が目の前にある、学生において最も避けたいこの席であろうと眠られずにはいられないのだ。
「まだ何か言いたそうだな?天宮」
「いえ、何も」
この日、とりあえず嵐が眠れる瞬間が来る事はなかった。
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