死臭

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死臭

9月26日 AM10:38 本署に着くと、恐らくは現場から帰って来たばかりであろうキーダー警部が、いつものスキップのような歩き方でなく、真剣な顔つきで走って来た。 彼は吸っていた煙草を既にいっぱいの携帯灰皿に押し込め 『ナベリア教授!すぐに現場に向かいます乗って下さい!』とパトカーに乗り込んだ。 キーダーの運転の荒っぽさはその業界では有名で、彼に睨まれて20分以上逃げ切れるドライバーはいないといわれる程だった。 交通課でもないのに…… 私はいつものように 『お前の助手席に乗る度寿命が縮まる思いだよ』と悪態をついた。 するとキーダー警部はこわ張った顔で 『これから行く現場の方が寿命が縮まりますよ。』 と呟いた。 裏路地のスラム街を抜け、湖のある森林地帯にそれはあった 庭の大きな西洋館 カーテンは昼間にもかかわらず締切っている 既にパトカーと検死官の車が数台止まっている。 確かに異様な雰囲気がする。 そしてそれを覆う様に死臭がたちこめていた。
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