紫煙の譜

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『夢庵‐華燭に掲ぐ芥子の花‐』    泥で染まった蒲団にのまれ 泡沫の燈映すは夢庵 藍と青とか互いに混じり 群青だけが轟き渉る 孤独に悩む男爵が ふらり立ち寄る酩酊の 愚かな国の免罪符 退屈しのぎに涙を枯らし 知らぬ知らぬの一点張り 稚拙な言葉は自虐を辿り 幼稚な心に刺さるは刄 右に見えるは茨の道か 左に見えるは棘の道か 他人の唾で汚れた綱を 渡り渡った一日の先 横になりし頭の陰に 蟹の泡の不安の種よ 華燭に掲げろ芥子の花 あそこに臨むは夢 誰も咎めぬ夢庵
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