3人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
『夢庵‐華燭に掲ぐ芥子の花‐』
泥で染まった蒲団にのまれ
泡沫の燈映すは夢庵
藍と青とか互いに混じり
群青だけが轟き渉る
孤独に悩む男爵が
ふらり立ち寄る酩酊の
愚かな国の免罪符
退屈しのぎに涙を枯らし
知らぬ知らぬの一点張り
稚拙な言葉は自虐を辿り
幼稚な心に刺さるは刄
右に見えるは茨の道か
左に見えるは棘の道か
他人の唾で汚れた綱を
渡り渡った一日の先
横になりし頭の陰に
蟹の泡の不安の種よ
華燭に掲げろ芥子の花
あそこに臨むは夢
誰も咎めぬ夢庵
最初のコメントを投稿しよう!