冬祭り

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そういえば 前 槇 遥(マキ ハルカ)が現れた頃 爽先輩が "齋の親が芸能界の社長なんだ" って言ってたな。 "Harukaグッズ貰えるんだよ" って どうでも良い自慢してたけど。 芸能界ってわかんないけど そんな雰囲気 醸し出してたな。うん。 一人 頷きながら大ホール内をうろついていたら 誰かにぶつかってしまった。 ちなみに 何故 大ホール内を 一人でうろついてるかというと 私、アホな遊叉のアホな両親が 寝坊したからである。 朝、理事長に呼び出され 聞いたのだ。 昨夜、緊張とワクワクで 眠れなかったらしい。 小学生の遠足か。 そんな事を思い出し 現実に戻る。 ぶつかってしまった人に謝るべく 一歩下がる。 「あの、すみませ―」 「あ、遊叉」 相手の足元に向けていた顔を 上へ上げると 空のグラスを持った 辻先輩がいた。 私が辻先輩に顔を向けると こちらに背を向け 辻先輩の両隣りにいた 眼鏡の紳士そうな男の人と 背の低いかわいらしい女の人が こちらに振り返った。 「まあ 素敵な方!」 背の低い女の人が 瞳をキラキラさせ両手を絡めながら見つめてくる。 眼鏡の紳士そうな人は 苦笑いだ。
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