前編

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バイト帰り偶然通りかかった神社で祭りをしていた。懐かしい雰囲気を醸し出している出店に疲れた足すらも動かされ、裸電球が照らす出店の中をゆっくり歩きながら見ていた。 途中昔よくやった金魚掬いが目に止まり挑戦してみようと出店のおじさんにお金を払う、だけど何度挑戦しても一匹も掬えず少し落ち込んでいたら 「篝なにしてんだ?」 聞きなれた低ボイスに振り向くと澪が立っていた。 「れ~い取れないんだ」 泣き付き気味に澪に言うと澪は貸してみろと言わんばかりに俺の手から掬いを奪った。 澪を眺めていると面白い具合に金魚が掬いあげられていった。 最終的に金魚は十数匹にまでなって澪は2匹だけ残しあとはまた広い掬い場へ戻していた。 俺は澪が掬った金魚を上機嫌に片手に下げて澪と並んで歩いた。 「澪ありがと!俺すっごく嬉しい」 澪は俺に微笑み掛けて 「あのまま続けていたらおじさんが可哀想だと思っただけ」 「う~だって、取れると思ったんだよ」 実際取れてないけどと付け足すと澪は少し声を上げて笑った。普段クールな澪がこんなに笑うのは俺の前だけだよね? 澪side→
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