0人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
「サムライ殿はお風呂に入られましたか。一ヶ月ぶりですな」
Z氏はいつものように勝手に俺の部屋に上がり込み、お邪魔致します、といういつもの挨拶に続けて言った。
「最近しょっちゅう外で寝転がってるから洗おうかと思って」
俺はフィルターの焼け焦げる匂いがする寸前のマイルドセブンスーパーライトを消しながら答え、サムライに目を向けた。
Z氏がくると必ず近寄っていたずらしようとするサムライも、今は自分の毛を乾かすのに夢中だ。
背中のグレーとは違い雪のように白い腹毛を、ざらざらとした舌で必死に舐めている。
俺は思う。
なぜ猫という生き物は、濡れてるところを舐めるのだろう。
逆効果じゃないか。
人間ならまずそんなことはしない。濡れてるとこ舐めない。
あ、なんかやらしい。
ちょっと待て。
濡れてるとこ舐めると人間も猫レベルということか。
動物ということか。
生物ということか。
クリエイション。
最初のコメントを投稿しよう!