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また、警察の調べでは妹は特に人から恨まれることも憎まれることもなかったらしい。 そんなわけでただ一人の兄妹である、この俺に『容疑者』として(警察は重要参考人と言っていたが)白羽の矢が立ったのである。
何度も何度も警官署に連れていかれ同じ質問の繰り返し… 時には強迫紛いのことまでされた。
妹を失った直後の国家権力による『拷問』に俺は心底疲れ果てていた。
その後当然俺は証拠不十分で釈放、犯人らしき人物は見つからず妹の死は『自殺』ということで片付けられた。
遺書も見つからず、妹には自殺する動機も無かったのに…
結局妹の死は俺にとって何も解決しないまま宙ぶらりんの状態で今に至っているのである。
そのせいか俺の中では時間が去年の夏から止まってしまったような感覚に襲われることがある。
家に着いた俺は遅めの夕食を取った後、舞の部屋に行った。
久しぶりに入った舞の部屋。
此処に入るのは去年の夏に警察が家宅捜査をして行って以来だ。
部屋の中は母がこまめに掃除しているのだろう。 特に汚れた箇所もない。
俺はここに来た目的を果たそうする。
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