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今年もまた暑い夏がくる… 大学の帰り道、じっとりと汗ばむTシャツに嫌気を差しながら思った。
去年の夏にたった一人の妹『舞』を亡くして以来季節の移り変わりなど忘れていたが、どうも『夏』の暑さだけは感じずにはいられないらしい。
去年の八月『舞』は突然俺の前から姿を消した。
いや… 本当は『死んだ』と言うべきなんだろうが、俺はどうしても妹の死を受け入れることが出来ないでいた。
近くの橋の上から転落死したと思われるあの遺体は実は『舞』ではなく別の誰かではないか。 そして妹はどこかで生きているのではないか?
警察からDNA鑑定やらで完全に『アレ』が舞であったことを伝えられても、心のどこかにそんな想いが残っていた。
橋の上からの転落死。
事故とも自殺とも『他殺』とも取れるその死は街中の注目の的になった。
その中の『他殺』の線で最も強くマスコミに取り上げられたのが『兄、宮下徹の妹、宮下舞殺害』説 まぁ簡単に言うと俺が舞を橋から落として殺しましたよ、 って話だ。
実際、彼女が死亡した際に身につけていたカバンから俺の指紋が検出されたらしい。
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