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高い位置に貼り付けられた、教室の窓三個分程の紙を驚愕の面持ちで見上げる男……龍野啓太がいた。
至る所で上がる幸せに満ちた悲鳴が、彼の耳を酷く痛めつけた。手の中の紙をクシャリと握りつぶす。
深く息を吐き出してから、もう一度大きな紙を見つめた。だが、何度見てもお目当ての数字はなく、周囲の歓声が龍野をせせら笑っている。
いくら探したところで、無いのだ。
龍野は顔を伏せた。熱くなった頬を見られないようになるべく早足で歩いて、広々としたホールを出た。
瞬間、真冬の棘が肌へ突き刺さり、寒さに体が震える。龍野は体を縮めて歩いた。
手中でシワだらけになった受験票を、乱暴にポケットの中へと突っ込んで。
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